うれしいかなしい

これは牡丹

なにが、人と人との間を隔てるんだろう



それは、
人と人とを近づけるものの数より少ない気がする
けれど隔てるものがあることは悲しい


そして隔てるものが
はかないものだったと気付くと
自分がばからしくなって
向こう側にひょいと行けたりするが


近づけるものが
はかないものだったと気付いたときの悲しみは
隔てるものがある悲しみより数倍も悲しいと
あたしはそう思うのだ





散りぬとも
香をだに残せ梅の花
恋しきときの思ひでにせむ
(古今・春上・48)